嘘つきは泥棒の始まり!






私らしくなくワガママ言っちゃったけど、こうして聞いてもらえてやっぱり嬉しい。


いつもは私がワガママ聞く側だったから。




「えっと、……失礼します」


「はいはい」




なんとなく照れくさくなって、失礼します、なんて言っちゃった。


あれだけおんぶと言いまくったくせに、控えめに乗っかった私。


……重いって思われたらどうしよう。




「重くないから。むしろ軽いから」


「えっ、テレパシー?」


「は、何言ってんの。
あのさ意外かもしんないけど、
俺かなり力あるから絶対落とさないよ」




よいせっと桜ちゃんが私を少し上げて飛んで、体勢を立て直す。


ちょっと不安だなぁ、なんつって。




「水鈴、ちゃんと捕まって」


「うん、……えっと、」


「……腕、俺の首に絡めて」




……ですよね。


そうなりますよね。


それやばいんですよね。


ドキドキが背中越しに全部伝わりそうでわざと隙間作ってるんです。


恥ずかしいのです。


隙間できなくなっちゃ困る。


お姫様抱っこの時とは違うのだ。


だってあの時は急だったから。


でもこうやっていざ密着するとなると、ね……。




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