嘘つきは泥棒の始まり!





「ねえ遅い」


「ひゃっ」



突然、桜ちゃんが前かがみになった。


体がポスンと桜ちゃんの背中について、伸ばしていた腕が彼の首を挟むようになった。



「ほーら、俺の首に回して」


「うぅ」


「俺だって恥ずかしいんだから早くして」


「う……はぁい」




今日の桜ちゃん、ほんと意地悪だし言い方が冷たいよ。


いっつもふわふわしてて可愛い桜ちゃんだったのに、なんか違って、ドキドキする。




「………逮捕してもいいですか」


「え?」




答えを聞かずに、彼の首に腕を絡めて、私は小さく笑った。




「逮捕!」


「うわっ、ちょっと。逮捕って何のこと?」


「好き、ってこと」




首を回して私の方に目を向けた桜ちゃんの肩に顎をつけて、ぎゅうっとくっつく。




「……わけわかんない」


「好きなの。桜ちゃんが」


「嘘」


「本当」




ちゅっ、と彼の頬に口付ける。


途端にぶわわっと赤く染まる桜ちゃんの顔。


ひゃー、かわいい……っ!




「だって水鈴ずっと兄ちゃんのこと好きだったじゃん」


「でもそれ、憧れ、だったんだと思う」


「なんでそう思うの」


「だって桜ちゃんに恋してるから」





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