嘘つきは泥棒の始まり!
顔を私から背けてしまった桜ちゃんは、深いため息を吐いた。
なんだなんだ、私変なこと言った?
「俺、嘘つきだから言えることじゃないけど、その嘘まじでタチ悪いよ」
「警察官の娘だから、私は嘘なんて言わないよ」
「まあ、水鈴が嘘ついたことないけど。でも俺のこと好きとか、絶対に嘘だ」
「嘘じゃないってば!」
「じゃあいつから俺のこと好きなわけ!?」
……っと。
それは答えに詰まる。
だって、いつからなのかは、わからないから。
うーん…なんて言おう……。
「えっとね、気がついたのは昨日だけど、多分ずっと前から、好きだった、と思う」
好きは好きでも、彗ちゃんへの好きはお兄ちゃんへの好きだった。
だって、彗ちゃんとはキスしたいとか思わないもんね。
想像も出来ないし。
さ、桜ちゃんとはしたいって思うし、想像も出来ちゃう、から…ね!
「ふーん? どうやって気がついたの」
「そ、それは……」
さすがに想像できるとかそういうことはちょっと恥ずかしくて言えない。
気がついたきっかけは何だったんだっけ。
あ、そうだ、アレだ。
「桜ちゃんがタチの悪い嘘ついて、私の恋心を泥棒したからだよ」
完全にゆるふわ無気力男子から豹変して、謎に積極的な一面を見せている桜ちゃんの頬を突く。