嘘つきは泥棒の始まり!





「で、水鈴。晃生の悪口言いながらぶつかってきたよね、何があった?」



あららー、なんてこと。


桜ちゃんへの愚痴が口からこぼれていたなんて。


心の中でだけのつもりだったんだけどなぁ。


彗ちゃんにはバレバレかあ。



「実はね、桜ちゃんがタチの悪い嘘をついて泥棒したから怒ってるの」


「泥棒?」


「あ……いやぁ、こっちの話だから気にしないで!」



危ない危ない。


彗ちゃん経由で本当に犯罪としての泥棒をしたと桜ちゃんママに伝えられちゃ、桜ちゃんが可哀想だ。



「ふーん?」


「あ、あはは……」



疑い深そうに私を彗ちゃんが見てくる。


なんとか笑いでごまかしながら、ここは早急にこの場から離れた方が良さそうと考える。


というか、私いつまで彗ちゃんの腕の中にいるの。


誰かに見られたら誤解されちゃうじゃないの。




「何してんの」



………えっ。


恐る恐る首を動かして声の方を向けば、そこには、いつにも増して仏頂面の桜ちゃん。



ひえええええええっ!


やばい、これはやばい!!



「さ、桜ちゃん、これは、その…」



誤解されてしまう前に、回避しなくちゃ……!



「兄ちゃん、おかえり」



………ん?




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