真面目で冷淡な彼が豹変するとき
後編
『大丈夫だよ、今のところ順調!分からなかったらすぐメールするね、ありがとう』


これが中邑くんへの返信内容。


これを打つのに、やたらと時間がかかった。

打っては消して、打っては消して。


送信のボタンを押すのにもかなり勇気がいって、ディスプレイを見つめたまま固まってた時間も長かった気がする。

それに対してのメールは返っては来なかったけど、送信し終わった自分もなんだか疲れ果ててしまって、そのまま寝てしまった。


気がついたら、もう朝。

しっかりと寝て、頭はスッキリ。

結局昨日の夜は勉強出来なかったけど、多分起きていても中邑くんのことで勉強なんか身につかなかっただろうから、寝られただけよしとするか。


その日の準備はやたらと時間がかかって、時間ギリギリになってしまった。


今まで学校にいくのに髪の毛をただ梳かすだけで、そんなに気にすることもなかったんだけど。

中邑くんへの気持ちに気付いてからは、適当な自分を見せるのが恥ずかしくなっちゃって。

珍しくちゃんとブローして、崩れないようにスプレーをかけてって、ちゃんとやってみたり。


ファンデーションも先生にバレない程度に、薄く。

マスカラはつけないけど、少しだけ睫毛を上げてみたり。


恋をするって、こんなにも人を変えるんだなって、自分でも驚いているくらい。
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