真面目で冷淡な彼が豹変するとき
その日は図書室には行けず、逃げるように家に帰った。


家に帰った後、携帯が何回か震えていて、鳴らしているのは多分中邑くんなんだと思う。


だけど、出る気も見る気にもなれず、そのまま鳴らしっぱなしにしてた。



なんで彼女がいるのに、私に勉強なんか教えたの?


私なんてほっといたらいいのに。

あんなに優しい笑顔を見せられる、彼女がいるのに。


どうして……?


そんな思いがぐるぐると頭の中を回る。



苦しくて、切なくて。

勉強しなきゃいけないのに、机にすら向かえなくて。


ただただ枕に顔を埋めて、ひたすらその夜は泣き続けた。





――次の日。


泣きすぎて目は真っ赤。顔もパンパンに腫れてる。

人様に見せられるような顔じゃないと、鏡を見て思った。


「酷い顔……」


こんな顔で、学校なんて行きたくない。

こんな状態で、もし中邑くんに会ってしまったら……。



だけど、休みたくても親は許してくれないし。

学校をさぼるような勇気も出ないチキンな女だし。


仕方なく、マスクをして学校へと向かった。


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