真面目で冷淡な彼が豹変するとき
「今日も、部屋に来ます?」
それはテスト期間中で午前で学校が終わった帰り道。
中邑くんが何気なく私に聞いた。
そう聞くのはいつものことで、私は何も考えずにその言葉に頷いた。
テスト期間中はもちろん、テスト前も中邑くんの部屋で勉強するのが日課になっていた私。
だって中邑くん、何でも知ってるから。
分からないところを聞けば、厳しいけどちゃんと教えてくれるし。
お陰で私のテストの点がぐんぐん上がって、絶対入れないって言われてた大学も、この調子でいけば受かるだろうって先生に言われたんだ。
その学校は、中邑くんが将来入ろうとしているT大のすぐそばにある大学で。
どうあがいても私はT大には入れないから。
でも、せめて近くにはいたいなと思って、密かに目指していた大学。
それが合格圏内に入ったってことが、とても嬉しくて仕方なかった。
どれもこれも全て、中邑くんのお陰。
中邑くんがいるから私は頑張れているんだろうな、って思う。