真面目で冷淡な彼が豹変するとき
――それは突然のキス。
びっくりして、目なんて閉じれずに見開いたまま、唇が塞がれている。
「……ご褒美」
唇を離しながら、そう囁く中邑くん。
その時の中邑くんの顔は、あの時と同じもうひとつの素顔だった。
「さ、勉強の続きをしましょうか。南さんが頑張ったらまたご褒美をあげますよ」
にっこりと笑って、中邑くんはまた教科書に目を落とす。
真面目で、ちょっと厳しい中邑くん。
――でも、中邑くんのキスは。
とても優しくて、それでいて凄く気持ちが溢れていた。