メープル*パンケーキ【1巻】

『…それじゃあ私…』

それを悟られないうちに早く部屋に入ろうと、車のドアに左手を伸ばした時…バッグを掴む右手の上に温かい温度が重なった。

『っ……!』

「………。」

その温度の正体は冴木君の大きい手。一瞬だけ反応してしまったけど、あまりに優しい力加減に安心感さえ抱いた。

「…多分これからは怖い事は起こらないから。…もしまた何かあったら、絶対に相談して。分かった?」

『っ…うん…、分かった…』

彼の真剣な眼差しに戸惑いながらも小さく頷くと、納得したのか彼は重ねていた手をハンドルに戻した。
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