メープル*パンケーキ【1巻】
りりあちゃんは当然のように冴木君の腕にしがみ付いて可愛い表情で彼に甘えてて。
…帰り様に勝ち誇ってるかの様に私を見るのが気になるけど…。
彼女の行動や気持ちがあまりに堂々としてるから…本音を言うと、ちょっと羨ましいな…なんて思う。
『―さてと、それじゃ私もそろそろ帰ります。』
最近では二人を見送ってから帰路につくのが私の日課になりつつある。
冴木君とまともに話すのは仕事中に交わすオーダー用語と挨拶のみかも。
ほんの少し寂しい感情を抱きながらバッグを肩に掛け、車のキーを取り出すと席を立った。
「……幾斗も世話好きだね。…何だかんだ言って、りりあちゃんの言う事聞いてあげて。」
『そうですね…。幼馴染みの特権…なんですかね…。』