メープル*パンケーキ【1巻】

……マスター、顔が赤過ぎます。

「………。別に普段通りだよ。楓、マスターの介抱ヨロシク。じゃっ!」

―プツッ……

一瞬空気が和んだものの、張り詰めた空気に逆戻り。

「―さてと。マスターが騒ぎだしたから…帰ろっか。」

『…っ…うん…。』

短く返事をして顔を上げると冴木君は既に立ち上がり私に背中を向けていて、一歩踏み出そうとしていた。

このままじゃダメ。このまま戻ったら後悔するし、気まずくなるだけ。
私も勇気を出してちゃんと言わなきゃ。私の気持ち―。

『―冴木君、待って!』

立ち上がると同時に彼が着ている甚平の裾を掴んで少しだけ引っ張って何とか引き止めた。

「………ん?」

足を止めてくれた。…って事は私の話を聞いてくれるって事だよね?今度こそ…伝えよう。今しか無いんだから!
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