真実
1
『どうもーこんばんはー。』


出会いはこの一言だった。
あの日僕らは出会った。

いつも通り友人とお酒を飲みほどよく酔いが回った所で解散。毎度恒例のパターンだ。

『ちょっとまだ終電まで時間あるからもう一件だけ』
友人は言った。
僕はどうせすぐまた飲みに行くのだから明日も仕事だし帰りたいなと思っていた。
この日はなぜだかもう一件だけとしつこく誘う友人に押し負ける形となってしまった。
まぁ結果的にはこの友人の強引な誘いがあったからこそ彼女に出会えたわけだが、、、。


薄暗い店内なのはそう夜の水商売のお店だからだ。
薄暗いなかでもこの子が自分の好きな感じだと思うのに時間は掛からなかった。
恥ずかしいながらも『タイプである』とか『かわいいね』等と言う言葉がお酒の力も相まってこういう時はまぁ出てくるものである。
もちろんそんなありきたりなことを言ったところでなにがどう響く訳はないのだがそこはやはりお金を払っている店なだけあっていい反応を示してくれる。

そんなこんなをしていたら時間が来てしまった。
業務的な連絡先を交換して彼女は去った。
短い時間なので表面上の会話を楽しんだだけだ。
もちろんそういうお店であるのでそれ以上を望むわけではない。

お店をあとにしてかわいいこだったなと思いながら帰路についた。


彼女の名前は[なお]ーーー。


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