家族じゃなくなった日。
‧✧̣̇‧初めの一歩


「山本優香です。今日からよろしくお願いします!」


ーぱちぱちぱち。


今日から新入社員として父の会社にやって来た。


ここで働く兄も、社長の父も忙しくて大体は会社にはいないそうだ。



せっかく本社に来れたのに、会うのはまだ先になりそう…。



私は指導員として紹介された谷口さんの下で仕事を学ぶ事になった。

一言話しをしたが、少し性格の悪そうな人だった。


「谷口さんには気をつけなさいよ?」

「へっ?」


隣のデスクの佐藤さん。


「すぐ女にちょっかいだすのよ。私みたいはおばさんは興味ないから大丈夫だけどねぇ、特にあんたスタイルもいいし、美人さんなんだから‼︎気をつけなさいよっ!」


口に手を当てて、遠くにいる谷口さんを見ながら小さな声で教えてくれた。



「そんな事ないですよっ!けど、ありがとうございます。肝に免じておきます!」


「けど、こんな美人なら僕も手が出ちゃいそうですよ?」



間に顔を突っ込んできた少し天パの人。


「こりゃ、立花くんったら、優香ちゃんが困るだろ!」


「へへっ、すみませんっ。」


「山本優香です、よろしくお願いしますね。」
笑顔を向ける。


「立花 一希(タチバナ カズキ)です!よろしくね、山本さん♪」




返された笑顔はまるで天使のようだった。



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