家族じゃなくなった日。
藤田さんは笑顔の少ない人だった。
冷静沈着でクールと言うか、なんというか…。
話しかけにくい人だと思った。
そんな藤田さんと1番仲の良い立花さん。
いつも休憩時間には2人でお話ししている。
「ちょっと、山本さん?ちゃんと聞いてる⁇」
「は、はい!すみません‼︎」
私はと言うと、教育係の谷口さんとお仕事中だ。
「…にしても、山本さんは物覚えが早くて助かるよ。これからもどんどん仕事回すから、よろしくね。」
「ーーは、はい‼︎ がんばります!ありがとうございます!!」
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「ーーー山本さんって凄いよね…。」
「うん。最初はスタイル良くてめっちゃ美人で裏がありそうって思ってたけど、なかなか良い人だし…。」
「というか、あのストレートの長い黒髪よね!サラッサラだし、あの白い肌もスベッスベだし…」
「谷口なんて、最近自分の仕事全部山本さんにやってもらってるじゃない?」
「そーそー!今さっきも良い感じに押し付けちゃってさ!それでも山本さん、嫌な顔一つせず笑顔で受け取っちゃうしさ、…やっぱ凄いよあの人。」
「しかもその山本さんの仕事がそりゃあ、良いらしくってさ、なのに良いとこは谷口が持って行ってるってなんの。」
「あんのクソオヤジほんとサイテー。」
廊下で小声で話す女性社員たち。
どうやら新しい新入社員が入ったらしい。
「ーーすみません、少し聞きたいことがあるんですが。」
「「ーーはい⁇」」
!!!?
すると女性社員2人は一斉に顔を真っ赤にして、口を大きく開けている。
「ーー山本さん…って、誰かな?」
「あ、あ、あ……!!!」
「天野…さん…!!?」
僕はにこりと微笑む。