家族じゃなくなった日。


あの日、夏の日。

7月7日の七夕の。


雲がなくて、空が見えて、天の川を見上げていたら。



父と母は手を取り合って「ごめん」とその一言が言えたんじゃないだろうか。


2人とも頑固なんだ。

譲り合わずに離婚届けにサインした。


けど、私は知っている。

私が6歳の頃初めて撮った家族写真を、今だに母が手帳の中に入れていることを。


そして毎年7月7日には、それを取り出して見ていること。


今年も七夕は雨だった。


母が綺麗という天の川も、私は1度も見たことがない。


けど、もし見ることができるなら、次見るときは家族4人で見たい。


また、家族4人に戻りたい。

母もそれを望んでいるし、父もきっと満更でもないだろう。



母は、私に父の悪いところしかいわない。

高校時代の話なんかもよくされたもんだ。




けど、いつも思うことがある。


父の事を私に話している時点で、母は父の事を忘れられないんだと。


だから私が七夕で言う、織姫と彦星が会うのを手伝う橋になりたいのだ。


そりゃあ、踏まれたりして痛いときもあるかもしれないし、雨とか風が吹いて脆くなるかもしれない。でもその度にいろんな人に手伝ってもらって直して、いつかは会わせてあげるんだ。
そして、もう1度だけ父と母の笑いあう姿が見たい。


だからこの計画は秘密に行って、私がもっと父の会社で上の立場に立てたとき、結構する予定だ。


それまでは、秘密だ。



< 8 / 18 >

この作品をシェア

pagetop