【短】甘えたがりな彼氏サマ
それが橋本の優しいところというか、好きなところの1つだけど。
「…言わなくてもわかってるくせに」
「まーね。そんな耳まで赤くしてんのに断られたら俺泣いちゃう」
う…。耳まで赤いのか、私。
恥ずかしくなってますます橋本の腕の中に顔を埋める私に、また頭上からクスッと笑う声が聞こえた。
「希恵の帰宅時間もあるし、早くしなきゃね?」
「〜〜…ッ、ばか」
「はいはい、どーせ俺はバカですよーだ」
こういう時だけ橋本の方が立場が上なのがズルい。
キスの下りまでは、私が優勢だったはずなのに。
「好きだよ、希恵。大好き」
「私も、風磨のこと大好きだよ」
でも、たまには逆っていうのもありかもね。
「ったく…。そういう時だけ名前で呼ぶもんなー」
「それ、人のこと言える?」
甘えたがりの風磨だけど、私にだってその特権はある。
だから。
「風磨……早くして?」
「…ッ!?」
今からは、私が甘える時間。
【Fin.】