君のウソに涙のキス
教室に入ると、また、白石くんの席の周りに
女の子たちがたくさんいる。
私は、自分の机に、カバンを置きに行って、
目の前の席に座っている美咲に話しかけた。
「はい、これ見るんでしょ?」
「わーいっ!ありがとう~」
美咲に、英語のノートを渡すと、嬉しそうに受け取り、急いで写し始めた。
私は、ふぅ、とため息をつくと、机の中から本を取り出した。これ、忘れてきちゃったやつだ
本を開いて、読もうとしたら、ドアの前から
聞き覚えのある声が聞こえた。
「誰かー、英語のノート持ってねえ?」
……っ、これって……
ガタッと、席を立つと、ドアの前まで行く。
「柊ちゃん……!」
「あ?ああ、妃莉か。」
その人物は、美咲と私の幼馴染み。萩原 柊(ハギワラ シュウ)くん。
柊ちゃんは、私を見ると、思い出したかのように、朝の美咲と同じポーズをした。
「英語のノート見せてくれ!」
ああ、やっぱり。
「いいけど、今、美咲が見てて……」
私は、チラっと美咲の席をみると、柊ちゃんは、「はぁ!?」と声を出して、ズカズカと教室に入ってきた。