君のウソに涙のキス
「あら、休みなのに早起きね
どこか行くの?」
お母さんにそう聞かれ、私は冷蔵庫から取り出したお茶をこぼした。
「し、白石くんと出かけてくる」
こぼしたお茶を拭きながら恥ずかしそうに伝えると、お母さんはニヤリと笑った。
「だから、そんな可愛い服着てるのね〜」
「え? もう、うるさいよ…!」
私は、顔を真っ赤にしながら洗面所に向かい、歯磨きと顔を洗った。
そして、家を出て駅に向かう。
予定の時間より5分早く着いちゃった。
「……あ、」
目の前には、私服の白石くん。
そして通る人はみんな彼を見ている。
中には話しかけてる人もいるし…
やっぱり、モテるんだなぁ。
そう思って、眺めてると、「妃莉」と話しかけられた。
「え?」振り向くと、ニコッと微笑んでる白石くんの姿。私は、慌てて髪の毛を直して「おはようございます」と言った。
「おう」
白石くんは、そう言ったけど、全然目を合わせようとしない。それに、私の方をあれから見ない。
服、変だったかな……?
髪の毛巻いたりしたから、かな?
だんだん不安に思っていると、白石くんは立ち止まって、大きな声を出した。
びくっ、とした私は白石くんに話しかけた。
「あ、あの……?」
私が話しかけると、白石くんは、チラッと私のことを見た。