君のウソに涙のキス
笑い声が聞こえたから、思わず上を見てしまう。
けど、もうそこには居なくて、私の少し前を女の子に囲まれながら歩いてる白石くん。
ホッとしたような、ズキッとしたような変な気持ちが胸を襲う。
そのまんま、後ろ姿を見ながら突っ立ってしまった私に、美咲が「おーいっ」と話しかけた。
それと同時に、美咲の後ろからも声が聞こえて、私も、美咲も振り返る。
「よっ、美咲と妃莉ちゃん」
いつも、私のことまで呼んでくれる男子はなかなかいない。
「今日は早いじゃん。おはよ、楓太」
「おはよう、楓太くん」
そう、彼は美咲の彼氏で津田 楓太(ツダ ソウタ)くん。
白石くんの友達。いや、楓太くんは親友だって言ってた。