君のウソに涙のキス
「そーいえば、妃莉ちゃん、晴と付き合ってるんだって?」
楓太くんに、朝からそう言われびっくりしてしまう。
「まあ、詳しいことは聞いてないけどさ、
あいつ、意外と優しいからさ。」
楓太くんは、へへっと笑いながらそういった。
「あ、うん…。それでね、
そのこと内緒にしてほしいんだ…」
「え?どうして?」
きょとんっとする楓太くんを、美咲は、べしっと叩いた。
「あんたねぇ、ホントに馬鹿ね!
白石は、モテるんだからそんなの知ったら
妃莉がいじめられちゃうじゃない!」
「あー。女は怖いから、ね」
美咲にそう言われると、楓太くんは、チラリと美咲を見ながらそういった。
「はぁ? それ、私に言ってんの?」
「あ、嘘だって……!」
ふふっ、
2人は、毎日のようにこんなことを繰り返してる。
そんな2人だからこそ、あんな風に付き合ってるんだろうな~……
「あーあっ、もう!楓太が馬鹿だから!
ほら、妃莉、教室に行こう!」
クルリと向きを変えて、私の手を引っ張る美咲。私は、その後をついて行った。
後ろから楓太くんものんびりとついてきていた。