クラウディアへようこそ
「働いてみてはどうだったかとか、仕事は辛くないかとかって……まあ、世間話ですよ」
「それにしては会話が弾んでいなかったか?」
「そうですか?」
「……俺の電話は嫌々取っていたくせに」
思いも寄らない反応にぎょっとして、運転席の一色社長の横顔を凝視する。
まさか……名誉も、地位も、お金もある大の大人が?
(拗ねてるの……?)
子供かよ!!と脳内で突っ込みを入れつつ反論する。
「それは……一色社長が強引に話を進めるからです!!」
「……強引にしないと来ないだろう?」
んぐっと、言葉に詰まってしまう。まさに、痛いところをつかれた。
「……だっておかしいじゃないですか。社長とただの一般社員が一緒に食事に行くなんて」
自分は悪くないと主張すると、一色社長に鼻で笑われた。
「リリアの生まれ変わりが、ただの一般社員だなんて笑わせるぜ」
「そういう贔屓は……良くないと思います」
「変なところで真面目だな」
一通り話し終えると一色社長の気も済んだようなので、今度はこちらが尋ねる番である。
私は副社長に言われた通り、正直に胸の内を明かしてみることにした。