テルクシペアの詩【女詩】
#449 泥の船
アナタはとてもウソツキだけど
さすがに夢の中までは
嘘を持っては行けないのね
眠れない私に
アナタは違う名前を呼んだ
望むほどに遠ざかる
まるで傾いた月のよう
ならばアナタを沈めてしまおう
記憶の底に沈めてしまおう
泥の船に乗せて
この愛の錘で沈めてしまおう
息ができないのはそのせいよ
私がアナタの首に手を掛けた
そのせいよ
二度と違う名前を呼ばないよう
せめて最後は
私の名前を呼んで
沈んでしまえば
それでいい
【#449 泥の船】