【完】素直じゃないね。
判然としないまま手紙を見つめていると。
「あ、つかさちゃんっ」
掃除当番から帰ってきた乃亜が、あたしの元へぴょこぴょこと駆け寄ってきた。
「一緒に帰ろ?」
ニコニコ笑顔で、ちょこんと首を傾げる乃亜。
……あぁ、こんな可愛い天使の誘いを断るなんて……。
でも、あたしになにか用があるなら、それを無視するのもよくないし……。
あたしは苦渋の選択の末、顔の前で手を合わせた。
「ごめん、乃亜。
急用ができちゃった。
だから、先に帰ってて?」
恐る恐る目を開くと、しょぼんと悲しそうな表情を浮かべていた乃亜は、それから笑みを作った。
「そっかぁ。残念だけど、急用ならそっちを優先しなきゃだね。
私のことは気にしないで?
また明日、一緒に帰ろうっ」
大、天使……!
この子、外見だけじゃなくて、中身まで天使だ……!
「乃亜〜っ!」
あたしはドバーッと滝のような涙を流して、乃亜に抱きついた。