【完】素直じゃないね。
──あのキーホルダー事件の後。
乃亜に事情を全て話すと、乃亜は嫌な顔ひとつせず、マスコットを直してくれた。
それどころか、『大切にしてくれてありがとう』なんて言ってくれるもんだから、やっぱり乃亜は天使だと思う。
あの三人組も、高嶺が釘を刺したあの時から、あたしにつっかかってくることは、まったくなくなった。
あの体育の時。
『日吉つかさ、高嶺くんと2人で歩いてたとか、まじででしゃばりすぎだよね』
『あれくらい、痛い目見せてやんないとね。
ざまぁって感じ!』
という、渡り廊下から戻ってきた三人組の話を聞いて、あたしが脅されたことを高嶺に報告してくれたのは、宙くんだったらしい。
いろんな助けがあって、事は収まったわけで。
みんなに感謝しないとな……。
あたしはクマのマスコットを見つめながら、微かに頬を緩めた。