【完】素直じゃないね。






あれだけ待ち遠しかったというのに時間はあっという間に流れ、ついに夏祭り当日を迎えた。


お母さんに着付けを手伝ってもらって着た朝顔柄の浴衣に、慣れない下駄を履き、足を捻りそうになりながら、あたしはやっとのことで乃亜との待ち合わせ場所である駅前へやってきた。


乃亜を待って、駅の壁にもたれかかっていると、目の前を浴衣を着た男女が目の前を通り過ぎていく。


街全体が、夏の匂いと共に夏祭りに染まって、それだけで心が浮ついてしまう。


しばらくして、

「つかさちゃぁん!」

可愛すぎる天使ボイスが聞こえてきて、そちらを見ると、金魚の柄の浴衣を身に纏った乃亜が、手を振りながらこちらへ駆けてきていた。


「乃亜!」


天使の姿を目にするなり、スマホのカメラを起動しパシャパシャと写真を撮る。


はい、予想を裏切らずやっぱり鼻血モノです。

天使が夏祭りに舞い降りました。

< 104 / 409 >

この作品をシェア

pagetop