【完】素直じゃないね。


「遅くなってごめんねっ」


「全然。今来たとこだし!」


「ちょっと、着付けに戸惑っちゃって」


うんうんとデレながら話を聞いていたあたしは、ふとある異変に気づいた。


あれ……?


「乃亜、前髪切った?」


指摘すると、乃亜が慌てふためきながら前髪を隠した。


「あっ、あのね、ママに頼んだら、切られすぎちゃって……!
う〜、恥ずかしい……っ」


元々眉のラインできっちり揃えられていた前髪が、眉上で揃えられている。


「んーん、すっごく可愛いよ。
可愛すぎ。
可愛すぎて意味わからない」


「ほ、ほんと……?」


「うん」


一ミリの迷いも見せず力強く頷くと、乃亜がえへへと笑った。


「落ち込んでたから、ホッとしたぁ。
ありがとう。
つかさちゃんも、すっごく可愛い……!
まとめ髪も、浴衣も、すっごく似合ってる」


「えっ?」

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