【完】素直じゃないね。
髪はお姉ちゃんに結ってもらった。
普段はストレートの髪を下ろすだけで結ったりしてないから、こんな髪型したことほとんどしたことない。
でも、あたしが可愛いなんて天地がひっくり返ってもあり得ない。
「あはは〜。もう、乃亜ってばお世辞がうまいんだから〜!」
ブンブンと手を振り、笑いながら否定する。
「うええ、お世辞じゃないよ」
そんなわけないない!
乃亜は優しいから、あたしに気を遣ってくれてるんだよね、うんうん。
大丈夫よ、その優しさ、ばっちり受け取ったから!
「さっ、行こうか、乃亜!」
あたしは乃亜の手を取ると、人が賑わう方に向かって歩きだした。