【完】素直じゃないね。






それから、乃亜とふたりでたくさんの屋台を回った。


金魚すくいをする乃亜も、りんご飴を舐める乃亜も、綿あめをパクッと口に含む乃亜も可愛すぎて眼福だ。

あたしの心も写真フォルダも満タン。


「つかさちゃん、楽しいねっ」


乃亜が嬉しそうに目を細め、あたしを見る。


「うん! 楽しい……!」


楽しいどころか、それすら超えてもう幸せの域。


夏祭り、バンザイ!


幸せいっぱいでにやけながら、ラスト一個になったたこ焼きをパクッと口に放り込んだ時。


「あれ? あーっ!
乃亜と日吉ちゃん!」


やけに元気な声に、そちらを振り向いたあたしは、

「んっ……」

思わずむせそうになった。

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