【完】素直じゃないね。
「……え?」
思わずこぼれてしまったかのように困惑の声を上げると、その声が届いたのか、高嶺が我に返ったようにバッと体を離した。
まるで、あたしを拒絶するみたいに。
「あー……悪い、こういうのはダメだよな。
ごめん」
高嶺が斜め下へ視線を向けながら、つぶやく。
高嶺と目が合わない、から、不安になる。
高嶺の瞳が、なぜか読み取れない。
でも、地面のただ一点を見つめる瞳、それがあたしを映していないことだけはたしかだった。
なんで……謝るの?
ねぇ、謝らないで。
そんなふうに心から謝られると、なぜか胸が痛くなるの。