【完】素直じゃないね。
なんでよりによってこのタイミングで、あたしに構うの?
高嶺の顔を見れず、ぎゅっと唇を噛み締め、うつむいて顔を逸らしていると。
「昨日の、」
高嶺の声が降ってきた。
「昨日の差し入れ、つかさだろ」
思わぬ話題に、ギクッと体が凍りつく。
やっぱりバレてたんだ……。
「来たの、全然気づかなかった。
悪魔ののど飴とか、どこで見つけてきたんだよ。
でもありがとな」
高嶺の言い方に、よそよそしさというか、壁を感じる。
だって、いつものあたしに対する態度じゃない。
プリンスの仮面がちらほら垣間見える。
高嶺が、遠い。