【完】素直じゃないね。


なんでよりによってこのタイミングで、あたしに構うの?


高嶺の顔を見れず、ぎゅっと唇を噛み締め、うつむいて顔を逸らしていると。


「昨日の、」


高嶺の声が降ってきた。


「昨日の差し入れ、つかさだろ」


思わぬ話題に、ギクッと体が凍りつく。


やっぱりバレてたんだ……。


「来たの、全然気づかなかった。
悪魔ののど飴とか、どこで見つけてきたんだよ。
でもありがとな」


高嶺の言い方に、よそよそしさというか、壁を感じる。


だって、いつものあたしに対する態度じゃない。

プリンスの仮面がちらほら垣間見える。


高嶺が、遠い。

< 135 / 409 >

この作品をシェア

pagetop