【完】素直じゃないね。
「なんでそんなウソつくんだよ。
あれはつかさが、」
「とにかく、あたしは知らないからっ!」
高嶺の言葉を遮るように声を振り絞ると、腕を振り払い教室を駆け出た。
「つかさっ」
あたしを呼び止めようとする高嶺の声も耳に止めないで。
……苦しいよ。どんどん高嶺のこと好きになっちゃう。
今はもう高嶺の声にだって、キュンとして心が揺れるんだよ。
これ以上好きになりたくないのに。
消すどころか、どんどん大きくなってしまう恋心。
絶対叶うはずのない想いなのに。
恋が、こんなにつらいものだなんて知らなかった……。
行き場のない気持ちを振り放すように、あたしは廊下を走り続けた。
高嶺は、追いかけてきてはくれなかった。