【完】素直じゃないね。
「高嶺くんに彼女かぁ……」
乃亜がぽつりとつぶやいた。
その声が、秋空に溶けていく。
あたしはこくりと頷く。
休み時間、中庭のベンチで、あたしは昨日起きたことを乃亜に話した。
あたしが高嶺に対して抱いている気持ちも。
「好きになってすぐ失恋だよ……」
あたしは視線を落として、大きく溜息を吐いた。
「初恋だったんだけどな……」
「つかさちゃん……」
がくりと肩を落としていると、不意に乃亜が大声をあげた。
「でもでも! 諦める必要はないと思うの!」
「え?」
「だって、好きって気持ちは、簡単には消えないよ。
高嶺くんに彼女がいたとしても、高嶺くんを想う気持ちはつかさちゃんのものだもん!」
「……っ」