【完】素直じゃないね。
マシンガンのように一息で言ったところで、乃亜が慌てふためいたように、両手をばたばたと動かす。
「だからね、なにが言いたいのかっていうとね、あのね、ええっとね……私は、つかさちゃんの味方だってことっ!」
「……っ」
思いがけない言葉に、あたしは思わず声を詰まらせた。
今まで聞いたことないくらいの大声。
あたしの気持ちを、負の方から必死に引っ張り上げようとしてくれている。
なんで乃亜が泣きそうになってんの。
泣けてきちゃうのはこっちだよ。
乃亜が可愛すぎて。
胸がいっぱいでなにも言えずにいると、乃亜がうつむいた。
「うう、頼りになれなくてごめんね……」
ううん、と首を横に振る。
あたしが今、どれだけ元気を貰えたか。
「ありがとね、乃亜」
こういう時、そばにいてくれる人が、話を聞いてくれる人がいるって、あたしは幸せだ。
──失恋決定。
だけどやっぱりこの気持ちが消えるまでは、まだ好きでいさせて、高嶺。
簡単に消せないほど、こんなにも大きくなってたんだよ。
高嶺を想う気持ち。