【完】素直じゃないね。
すべての授業が終わり、掃除の時間になった。
だけど結局、高嶺とは一言も話せないまま。
だってあまりに女子たちの鉄壁ガードが固すぎる。
でも明日こそは。
明日こそは絶対、話してみせるんだから。
固く決意しながら掃除場所である図書室に向かうと、同じく図書室担当になっているクラスメイトふたりはまだ来ていなかった。
時間ももったいないし、先に始めようと換気に向かったあたしは、一番奥の窓に歩み寄ったところで、なにかズシリとした物に躓いた。
「……いっ」
それと同時に足元から聞こえてくる、押し込めたような鈍い声。
体制を立て直して反射的に視線を落とせば、そこには男子が寝転がっていた。
「うわっ!」
想像もしなかった存在に、声をあげて慌てて飛び退くと、その人がゆっくり起き上がった。