【完】素直じゃないね。
くすくす笑っていると、桜庭先輩がなぜかあたしを見つめて押し黙っていることに気づいた。
「桜庭先輩?」
不思議に思って名前を呼ぶと、ハッと我に返ったたように桜庭先輩が笑う。
「ん? ああ、ごめん。
いやー、恐ろしい破壊力だと思って」
「なにがですか?」
「んー。まぁ、わかりやすく言っちゃえば、俺が君のこと気に入っちゃったってこと」
「へ?」
話に脈絡がなさすぎて、ついていけない。
ぽかんとしていると、桜庭先輩が口角を綺麗にあげて、なにかを企んでいるように笑った。
「俺、実は、女子の扱い超慣れてるんだ」
「は、はぁ……」
また突然、話が見えない方向に飛んで行った。
さっきからなにを言ってるんだろう、この人。
「姉さんが三人もいるからさぁ、そこら辺の男供より断然女心がわかるわけよ。
で、つまりはね、俺がつっちゃんの男苦手を直してあげようかなって」