【完】素直じゃないね。


「よし、決まり!
じゃあまずは俺のこと、下の名前で呼んでみて?」


あっという間に話が進んで、桜庭先輩の中では話はまとまったらしい。


ほんとにジェットコースターのような人だ。


そしてあたしもそのジェットコースターに、しっかり同乗させられてる。


「ほらほら、呼んで?」


「えっと、充樹、先輩?」


「そうそう。
じゃあ、俺の目見てて?
少しずつ近づいていくから、ムリだって思ったら、目そらして?」


言われたとおり、目を見つめる。


すると、充樹先輩が視線の高さを合わせながら、こちらへ歩いてくる。


「俺の目、直接見るんじゃなくて、最初は泣きぼくろ見るようにしたらいいよ。
これ、俺のチャームポイント。
セクシーじゃない?」


「ふふ、セクシーです」


ふと笑みがこぼれる。


「つっちゃんの笑顔、かーわいっ」


言いながら、ぐんと距離を詰める充樹先輩。


気づけば、その距離は一メートルほどにまで縮まっていた。

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