【完】素直じゃないね。
「あんまりこいつに近づかないでもらえますか」
翌日の放課後。
茶道部の乃亜が部活に行ってしまい、帰宅部のあたしは、他のクラスメイトの女子と談笑していた。
明日も会えるというのに、家に帰るのがもったいなくて、今日話しきれていないことを探すように、話に花を咲かせる。
すると。
「日吉ちゃーん」
廊下の方から、あたしの名を呼ぶ宙くんの声が聞こえてきた。
「はーい?」
返事をしつつそちらに顔を向ければ、ドアから顔だけ覗かせるようにして、宙くんがおいでおいでと手を振っている。
「呼ばれてる! 日吉ちゃん!」
「え? あたし?」
自分を指差して、思わずぽかんとすると、宙くんがうんうんと頷いた。