【完】素直じゃないね。
「いやぁ、それにしても、昨日クラスまで聞いておけば良かったよ〜。
つっちゃん、どこにもいないからさぁ」
「あっ、たしかに!
クラスまでは言ってなかったかも……」
「でも良かったよ。
つっちゃんの俺への恐怖心が、リセットされてないみたいで」
充樹先輩の言うとおりだった。
こうやって一対一で話していても、恐怖心はわいてこない。
「充樹先輩はもう大丈夫みたい」
「めちゃくちゃ嬉しいね、それ」
にこっと笑う充樹先輩。
まるで春風が吹いたみたいな、綺麗な笑顔。
完成された笑みは、色気もあるし大人っぽい。
あたしもついつられて、笑顔になってしまう。