【完】素直じゃないね。
そうこうしてるうちに、時計は深夜三時を回っていた。
結果、盛大に寝坊し、いつもの時間よりも三十分も遅く家を出ることになってしまった。
時間にシビアな性格からしてみたら、あってはならない失態だ。
だけど、さすがはあたし。
家を出た時は間に合わないと思ったけど、校門が閉まるまであと五分というところでなんとか滑り込んだ。
実は、小学校の頃からリレーの選抜に選ばれてるから、走ることにはちょっとだけ自信があったりする。
「ふぅ」
小さく息をついて、スクールバッグを背負い直しながら校門を歩く。
焦ったけど、間に合って良かった。
無遅刻無欠席記録はなんとか死守できたし。
それにしても……あんな時間に返信してくるなんて、高嶺はなにしてたんだろう。
下駄箱にローファーをしまいながら、ふと疑問に思って首を捻った時。
「あ! つっちゃーん!」
どこからともなく呼ばれて、声がした方を振り向けば、充樹先輩が手を振りながらこちらに向かって駆け寄ってきた。