【完】素直じゃないね。
「充樹先輩! おはようございます」
「おはよ。ギリギリ間に合った〜!」
「充樹先輩も寝坊ですか?」
「うん。友達とダーツ勝負してたら、白熱しちゃってね」
「ダーツとか、なんておしゃれな……」
充樹先輩の口から飛び出した大人な世界に圧倒されていると、なぜか嬉しそうに顔を覗き込んできた。
段の上に乗っているあたしの方が数センチ背が高く、自然と充樹先輩が上目遣いになる。
「珍しいね〜、ポニーテール」
「髪をセットしてる時間がなくて」
胸下まで伸びたストレートの髪は、普段は下ろしてるけど、今日は櫛でとかす時間がなく、まとめてしまった。