【完】素直じゃないね。
「ねぇ、乃亜……。
もしかして遊びに行くのって、乃亜とあたしと、それから宙くん……?」
「うん、そうだよっ」
「……」
曇りのない満面の笑みを向けられて、思わずひきつり笑顔のまま固まるあたし。
こんな純粋な笑顔に対して、あたしの下心満載な本音を言えるはずもなかった。
……そう、だよね……。
乃亜にとっては、宙くんも大事ないとこだもんね……。
ひゅー、と心に木枯らしが吹きつける。
ふたりきりのデートだと思い込んで浮かれたあたしは一気に地に落とされたけど、元々はふたりで行く予定だったみたいだし、せっかく誘ってもらったのに我儘は言えない。
あたしにとっての最優先事項は、乃亜が望むことだ。
そう、しょうがないの。うう……。
「遊びに行くって、どこに行くの?」
よよよとこぼれる心の涙を拭いながら尋ねると、宙くんが答えた。
「最近できた遊園地あるじゃん? そこ!」
「ああ!」
そこなら知ってる。
遊園地とショッピングモールが併設されていて、あたしもいつか行ってみたいと思っていたところだ。