【完】素直じゃないね。


「日曜がいいかなって思ってるんだけど、日吉ちゃん大丈夫?」


「うん、ばっちり空いてる!」


「よし! じゃあ決まりー!」


そこであたしはふとあることを思いつき、ガッツポーズをきめる宙くんを呼び止めた。


「あ、あのさ」


「ん? なになに?」


あたしの声に気づき、こちらを向いた宙くんが、顔をずいっと寄せてくる。


この人、相変わらず距離近いーっ!


気づかれないようにさりげなく後ずさりながら、あたしは勇気を振り絞って提案した。


「せっかくこのメンバーで行くんだし、高嶺のこと誘ってもいいかな」


すると、なぜかパッと花が咲いたみたいに、宙くんが嬉しそうに笑う。


「もっちろん!
実はね、日吉ちゃんに誘ってもらおうかなって思って、高嶺にはまだ声かけてないんだ」


「え?」


どういう意味?と尋ねようとした、その時。


「俺がなに?」


突然聞こえてきた声に、あたしはびくっと肩を揺らした。

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