【完】素直じゃないね。
そして通話を切ると、スマホをしまいつつ、再びあたしに視線を向けて語りかける。
「スマホ、落としちゃったんでしょ?
つっちゃんのスマホは、今乃亜ちゃんが持ってるよ」
「乃亜が拾ってくれたんだ……。
よかった。
足挫いちゃったのに、スマホ落としたから連絡できなくて」
「えっ、足怪我してんの!?」
「思いっきり。やっちゃいました」
へへへと頭をかいていると、充樹先輩がふと真剣な眼差しをこちらに向けた。
「ねぇ、つっちゃん」
「はい?」
「もしかして、泣いてた?」
「え?」
思いがけない指摘に、思わず目を見開く。