【完】素直じゃないね。


そして通話を切ると、スマホをしまいつつ、再びあたしに視線を向けて語りかける。


「スマホ、落としちゃったんでしょ?
つっちゃんのスマホは、今乃亜ちゃんが持ってるよ」


「乃亜が拾ってくれたんだ……。
よかった。
足挫いちゃったのに、スマホ落としたから連絡できなくて」


「えっ、足怪我してんの!?」


「思いっきり。やっちゃいました」


へへへと頭をかいていると、充樹先輩がふと真剣な眼差しをこちらに向けた。


「ねぇ、つっちゃん」


「はい?」


「もしかして、泣いてた?」


「え?」


思いがけない指摘に、思わず目を見開く。

< 222 / 409 >

この作品をシェア

pagetop