【完】素直じゃないね。


──そして、金曜日。

ついに、その時はやってきた。


あたしはやっと、高嶺の空き時間を見つけた。


それは職員室の掃除を終え、下駄箱を通りかかった時のこと。


何気なく昇降口の方を見たあたしは、ローファーを下駄箱から取り出している高嶺の姿を見つけた。


スクールバッグを肩にかけているから、どうやら帰るとこらしい。


あたしは咄嗟に辺りを見回す。


まわりに人は……いない!


もう今しかないと思い立って、高嶺の元へ駆け寄る。


「高嶺!」


と、その時。

上履きの爪先が、リノリウムの床に引っかかり、あたしの体は前のめりになった。


……あ。やばい。

なんか、デジャブーッ!

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