【完】素直じゃないね。


言いかけて、口をつぐむ。


告白、と思ったけど、この場所は人通りが多くて、なかなか厳しい。

今も、背後の廊下を生徒が通り過ぎている。


あたしは、はたと考え直して、再び高嶺を仰ぎ見た。


「今度……来週の月曜、高嶺に言いたいことがあるんだけど」


「来週の月曜?」


「うん。だから、放課後、時間を空けててくれないかな」


「ん、別にいいけど」


「ありがと」


言いながら、体の熱が一気にあがっていってるのを感じる。


クールな感じを装ってるけど、心の中じゃ、てんやわんやの大騒ぎ。


うわ〜っ、約束するだけでこんなばかみたいに緊張してるのに、告白なんてできるんだろうか。

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