【完】素直じゃないね。
──そして数分後。
あたしはダンボールを持ち、高嶺と並んで廊下を歩いていた。
半ば脅迫に近い感じでやらさせた役回り。
なにが好きで、高嶺と並んで歩かなきゃいけないのよ。
募る不満に、頬を膨らませる。
すると、隣を歩く高嶺の声が降ってきた。
「そんな膨れっ面でいると顔が伸びるぞ、ビンタ女」
「はぁっ!?」
元はと言えば、だれのせいで怒ってると思ってんの!?
っていうか、ビンタ女ってなに!?
「ビンタ女じゃなくて、あたしにはちゃんと名前があるの。
ちゃんと、日吉って呼んで」
「ふーん。じゃあ、つかさ」