【完】素直じゃないね。
『ねぇ。そこまでして、なんで〝プリンス〟やってるの?
そんなにキャーキャー言われたいの?
キャラ作らなくったって、その顔なら充分チヤホヤされると思うけど』
『……お前には関係ねぇよ』
出会って間もない頃あたしが問いかけると、高嶺は投げやりにそう答えた。
あたしにとっては何気なかったそのやりとりを、その意味が分かった今思い返してみると、胸がぎゅうっと締めつけられているかのように痛くなる。
全然知らなかった……。
高嶺が被っていたのは、プリンスの仮面じゃなかった。
──朝陽さんの仮面だったんだ……。