【完】素直じゃないね。
「あんたに出会えてあたしは」
「つかさちゃん、お邪魔しまーす……って、わっ!」
ドアを開けた途端、あたしはなだれ込むように、玄関の前に立っていた乃亜に抱きついた。
「えっ? つかさ、ちゃん?」
「乃亜……」
どうしよう、もう頭ぐちゃぐちゃだよ。
「どうしたの?」
「あたし、ばかだった……」
「え?」
「高嶺に告白するの、やめる……」
ばかだ。ばかだ。
自分が嫌になる。
高嶺の気持ち、全然知りもしないで。
自分のことばっかりで。
高嶺と一緒にいる美織さんを見て思った。
美織さんになりたいって。
ふたりが、どんなものを抱えてるか知りもしないくせに……。