【完】素直じゃないね。
翌日。
学校での高嶺は、驚くほどにいつもどおりだった。
いつものように生徒に囲まれ、先生に頼られ。
あたしなんて、昨日一睡もできなかったというのに。
──でも、これが高嶺の普通になっちゃってるんだ。
どんな時でも〝高嶺朝陽〟を演じることが。
高嶺と、どう顔を合わせればいいのかわからない。
すごく勝手に意識して、変な気を遣ってしまいそうで。
高嶺は、多分そんなこと絶対望んでないのに。
斜め前に座るその後ろ姿は、そうあることが当然とでもいうように、背筋が伸びている。
そのしゃんとした背中を見つめては、ズキンと重く胸が痛んで。