【完】素直じゃないね。
「幸せになってね」
◇ 高嶺side
「高嶺」
屋上で空を見上げていると、ふと背後から名前を呼ばれた。
振り返れば、屋上のドアの前に、唇をきゅっと引き結んだ宙が立っていて。
「宙」
つかさと入れ替わるようにやってきたところから察するに、つかさが宙に連絡を入れたんだろう。
ふっと少しだけ表情を緩め、宙がフェンス前に立つ俺の隣へやってくる。
「初めて入った。屋上なんて」
屋上は、一部の生徒しか入れないようになっている。
該当するのは、天文部員か、俺みたいな例外か。
俺の場合は、何度か天文部の顧問の手伝いをしていたら、鍵を貸してもらうようになった。
「おまえ、屋上にはついてこなかったもんな」
「屋上に高嶺が来る時は、なにかある時だから」